雑記

玉三郎の「ふるあめりかに袖はぬらさじ」

投稿日:

memo1228
正月3日に、NHKが舞台「ふるあめりかに袖はぬらさじ」をオンエアします。
これは2012年に赤坂のACTシアターで上演された舞台の録画放送です。

この作品は有吉佐和子が文学座の杉村春子(いずれも故人)のために
書き下ろしたもので、幕末の横浜の遊郭を舞台に、そこで働く芸者と
遊女を中心に描いています。

ドラマは喜劇仕立てですが、ラストに遊郭の女の悲しみが鮮烈に表現され、
深い感動を呼びます。有吉戯曲の白眉といっていいでしょう。

主人公の年増芸者が杉村春子の当たり役。口八丁手八丁で、三味線を
聞かせたり、講談調で長台詞を語る、という見どころもあります。

杉村はそのセリフ術、所作の美しさで鳴らした女優。
リアルでありながら様式的でもある彼女の持ち味が、最大限に
発揮された舞台でした。

これを歌舞伎の女形坂東玉三郎が継承し、これまでに何度も
上演しています。当たり役の一つになりつつありますが、
ただこれまでは、杉村とちがい玉三郎は「絶世の美人」なため、
対照的に描かれている美人遊女よりもどうしても美しく見えてしまい、
役のリアリティに難がありました。

この芝居は遊女は絶世の美人、芸者は年増で容貌はぱっとしない、
という見た目の対比がでないと、成立しないのです。

リアリティに難があった、というのはそのためです。

それが今回は相手役の遊女が初役の壇れい。おそらく現役女優の中でも
最高の美貌の持ち主でしょう。一方の玉三郎は還暦を過ぎ、美しさは
相変わらずですが、以前のような他を圧する美貌からは少し別種の
味わいに変わってきていますので、その分、リアリティの難はこれまでより
ずっと克服されています。

二人の役のバランスが、杉村版のリアリティに近づいたと言っていいでしょう。

必見とは言いませんが、明るくにぎやかで、最後に感動が
あるという作品ですから、正月に茶の間で楽しむにはうってつけです。

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