雑記

歌舞伎花形役者「三之助」評

投稿日:

memo1228
歌舞伎花形役者を将来の展望を含めながら見ていきます。

「花形」は若手の人気役者を表した言葉ですが、
ここではかつて「三之助」と呼ばれた三人に限って、取り上げたいと思います。

市川海老蔵。稀有なスケールを持った役者であることは間違いありません。

特にお家芸である荒事には「でっけえ」と称賛されるスケールの
大きさが不可欠です。よくおじいさんの先代団十郎に似ていると言われ、
本人も戦後歌舞伎最大のスターだったおじいさんに憧れているようです。

しかし持ち味は全く違う。おじいさんも「でっけえ」役者でしたが、
神経質で知的なところがあり、それが特に新作で生かされていました。

海老蔵もその人間性に神経質な一面はあるようですが、
舞台はどこまでも野性的。それがこの人の魅力でもありますが、
最近少しそれが過剰になってきている気がします。

またセリフ、発声に、父団十郎の悪いクセが伝染してきているのも、
心配。誰か父以外の俳優に預けて、セリフを鍛えなおしておいたほうが
いいかもしれません。たとえば、父のいとこにあたる、吉右衛門に。

次に尾上松緑。十代で父と祖父を相次いで亡くすという不幸が、
俳優としての出発点だったといっていいでしょう。
荒野に独り立ちつく若者、といった印象がありました。
しかも一俳優だけではなく、彼には舞踊藤間流家元という、
それだけでも十分な重責が負わされているのです。

さすがに踊りは大きくてうまい。祖父譲りといいたいところですが、
それは比較になりません。

おじいさんのような名人は、おそらくもう出ないでしょう。
しかし、歌舞伎役者全体の舞踊技術の劣化を考えれば(三津五郎という例外はありますが)、
やはり現松緑も、踊りの名手と言うことにはなるのでしょう。

顔が小さいのと、海老蔵同様、発声に難があるのが欠点。
それと、特に最近、化粧が前より下手になってきてるような気がします。

三之助のもう一人の尾上菊之助。今は女形専科ですが、おとうさんの
菊五郎がそうであったように、将来立ち役も兼ねていくのでしょう。

美しさが年を追うごとに増して、現在、最も美しい女形といっていいと思います。
美しいだけでなく芝居も謙虚で丁寧。踊りのうまさは、玉三郎と共演した
「二人道成寺」で証明済み。

今の年齢にしてすでに、洗練された気品を備えているのも、他に類を見ません。
もっとも将来が期待される人でしょう。このまままっすぐ歩いていけば、
頂に到達することはまちがいありません。お父さんが手取り足取り教えずに、
玉三郎など他の俳優に指導を一任する、という方針であることも、海老蔵の場合とは
逆で、好ましいことだと思います。

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