私は常々日本語の表記方法は、世界でも例をみない独特な
ものだと考えています。
各国の新聞を比較すると、この違いは一目両全です。
たとえば、アメリカの新聞は英語のアルファベットだけで
表記されています。そして文字はすべて
左から右に並びます。これはアルファベットを
使う言語には共通で、フランスの新聞もドイツの新聞も
基本構造は同じです。
一方中国の新聞は全てが漢字で表記されています。
文字の並びは基本は縦で上から下へ、タイトル見出しは横もあります。
韓国の新聞は全てがハングル文字です。
これと比べて日本の新聞は漢字・ひらがな・カタカナ・アルファベットの4種類の
表記が混在します。もちろんアルファベットの量はそんなに多くありませんが…。
そして表記の方向は本文は縦ですが、タイトルは縦あり、横ありと実に多様
です。したがって他国の新聞とくらべて、統一感はない一方バラエティに富んだ
感じがあります。
この4種類の表記はアルファベットを除けば、日本で千数百年にわたり使い
続けてきたものです。評論家の加藤周一はその著書「日本文学史序説」のなかで
日本文化の特徴として、外国から新しいものが入ってきたときに、古いものを
捨てて新しいものに換えるのではなく、古いものを置いたままで、新しいもの
を付け加える。ことを指摘しています。
4種類の表記の混在はこの文化的特性と関係しているでしょう。日本でも明治時代には
ニュースペーパーを新聞を漢字で表記することをやっていましたが、
だんだんテレビ・コンピューターなどそのまま使われるようになりました。
中国は今でも電視台・電脳など自国の言葉をつかっています。
非常に興味のある日本人の特性です。