雑記

隠棲の俳人尾崎放哉、と山頭火

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memo1228
尾崎放哉は明治、大正期の自由律の俳人です。荻原井泉水門下で、
同門下には放浪の俳人として今も人気の高い種田山頭火がいます。

帝大を出て生命保険会社に就職、支店長まで行きましたが、
酒乱の傾向があり、辞職してしまいます。

職を失い奥さんとも別れ、一人になった放哉は寺男など、それまでの
キャリアからはかけはなれた境遇に身を投じます。
プライドの高い彼にとって、それはやむをえない人生の流れとはいえ、
自責は強かったはずです。

持病だった肺の病が悪化し、体力の衰えた彼は、井泉水と俳句の同人の世話で、
小豆島に渡ります。そこの西光寺の奥の院「南郷庵」の庵主として、
なんとか命長らえようとの思いでした。

けれど、島の天候に悩まされ、病んでなお酒にたよって泥酔しては酒乱ぶりを発揮。
世話になっている人にも迷惑をかけるという生活はあらたまりませんでした。

当然体も衰弱死、翌年4月に41歳の生涯を終えます。

山頭火は文字通り放浪の詩人でした。西行以来の伝統ある日本の
「漂白の詩人」の流れにある人です。

けれど放哉はそうではありません。たしかに各地を転々としましたが、
それは彼の望んだことではなく、運命に翻弄されつつ、渡り歩いたといった
印象が強いのです。

ほんとうは静かなところで静かにじっと暮らしていたかった、というのがその本音では
なかったでしょうか。彼は漂白、放浪とは違う「隠棲の詩人」だったといっていいでしょう。

ですから、実は彼と山頭火は、作風は似ているけれどむしろ対照的な人だったわけです。
二人はおたがいのことをもちろん知っていましたが、ついに放哉生前に
会うことはありませんでした。

彼の没後、山頭火はその墓を詣で、一句読みます。
「烏ないて私もひとり」。
これは放哉の代表作「咳をしてもひとり」に和したものです。

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