お金は銀行に預けるのが当たり前になっているので、
「金庫」を見かけることはめっきり少なくなりました。
金庫とは耐火性能と防盗性能を有するものを言い、
どちらかが欠けても金庫とは呼びません
。どちらに重きを置くかで、耐火金庫か防盗金庫に分けられます。
ホームセンターなどでよく見かける金庫は耐火金庫です。
耐火金庫は、中にある紙幣や各種書類、データディスクなどを、
火災による消失から防止することを目的としています。
絶対に内部に火が入らないようにしていることから、
かなり高度な科学的装置がついているように思えますが、
意外と簡単な造りになっています。
耐火金庫の本体の主な材質は発砲コンクリートです。
表面に見える鉄は、1mm程度の厚さしかありません。
発泡コンクリート自体に耐熱性がありますが、それに水が
含まれています。
火災時には、この水が蒸発することによる気化熱を利用して、
内部の温度が上昇するのを抑えています。
また、気化した水蒸気は金庫の扉の隙間から外に
放出されることにより、炎や熱風の侵入を防ぐ役割をしています。
耐火金庫はその頑丈さから、半永久的に使えそうに思えますが、
実は耐用年数があります。年月が経つと、発砲コンクリートに
含まれている水分が徐々に蒸発し、耐火性能が低下していきます。
製造後20年も経過すると、総水分量のおよそ20%が消失され、
本来の耐火性能を維持できなくなります。
なお、耐火金庫は日本工業規格(JIS)による加熱試験・衝撃試験に
合格することが義務付けられています。