年が明けて、春の訪れを伝えるお祭りが「ひな祭り」です。
ひな祭りの由来には諸説があり、明確にはなっていませんが、
中国の人形を川に流してお祓いをする風習に端を発し、
平安時代になって貴族の子供達による紙の人形遊びとして楽しまれ、
江戸中期になって現在のような飾り雛になりました。
雛壇の一番上段にある人形は、向かって左側が「お内裏様」で天皇、
右側が「お雛様」で皇后です。
その下の「三人官女」は皇后に付いてきた宮中に仕える女官です。
真ん中に座っているのが女官長ですが、既婚者のため、眉がありません。
三方か嶋台を持っています。向かって左に立っている女官が銚子、
右に立っている女官が長柄銚子を持っています。
その下にいるのが、少年ばかりの「五人囃子」です。ちなみに、
雛人形は平安時代の宮中の儀式を表していますが、五人囃子だけは
持っている楽器も、着ている衣装も江戸時代のものになっています。
左から音の大きい順に、太鼓、大鼓、小鼓、笛の楽器が並び、
右端に謡が置かれます。
4段目の両端には「左大臣(年寄)」と「右大臣(若者)」が並びますが、
位置は向かって右側に左大臣、左側に右大臣がきます。
しかし、身分からいうと、向かって右側に右大臣、左側に左大臣が
こなければなりません。
実は、雛人形は最上段の内裏と雛に対して、それ以下の段にいる人たちは
向き合った設定になっています。そのため、内裏と雛以外の人たちは
実際とは左右が逆に配置されています。
なお、左大臣と右大臣は、大臣という名にはなっていますが、
実際には大臣ではなく、天皇付きの随身と呼ばれる人です。
一番下に、宮中の雑役を務める3人の「仕丁」が置かれ、
それぞれ台傘(日傘)、沓台、立傘(雨傘)を持っています。