最近、自民党政権になってから、「日本銀行の独立性」が
よくニュースの話題にのぼるようになりました。
日本銀行は「日銀」と略されていますが、1882年に設立された
日本で唯一の中央銀行であり、銀行券を発行するとともに、
通貨調節による物価の安定と、健全な経済成長を目指し、
且つ民間銀行間の円滑な決済の安定性を確保することで、金融機能の保護をする役割を担っています。
日銀の独立性の基本的な意義は、政府の資金調達からの分離です。
日銀が設立された経緯は、以下のことが背景にあります。
明治時代に起きた西南戦争において、当時の明治政府には戦費を
賄うだけの十分な財源がありませんでした。
そこで、政府は紙幣を大量に発行してその支出に充てましたが、
そのために、激しいインフレを招いてしまいました。
どうしても手元にお金を自由に生み出せる装置があると、
麻薬のように誘惑に負けて、使い続ける危険があります。
その危険を避けるために、当時の大蔵卿(財務大臣)だった松方正義は、
ヨーロッパを見習って、政府から分離した日銀を発足させ、
紙幣発行を日銀に行わせることによって、通貨価値の安定を図りました。
しかし、紙幣発行を政府から分離したとしても、日銀に
国債の購入を約束させて、政府が財政赤字を膨らませたら
同じことが起きます。
その実例が、太平洋戦争における、戦前・戦中を通じた
軍事費調達のための日銀による国債引き受けの失敗です。
それを反省して、日銀の国債引き受けを禁じる法律が作られました。
最近のデフレ解消のために、大幅な金融緩和が叫ばれていますが、
重要なことは、日銀を「打ち出の小槌」にするのではなく、
政府と日銀が協力して、財政の健全化と経済成長における
適切な処置をしていくことです。