以前、あるお笑い芸人が後輪にブレーキの付いていない自転車で
公道を走っていたことから、道路交通法違反の容疑で取り締まりを
受けたことがニュースに流れていました。
道路交通法では自転車の両輪にブレーキを付けることが義務化されています。
なぜ、ブレーキを付けないかというと「カッコイイ」からです。
このブレーキを付けない自転車のことは「ピスト」と呼ばれ、
下向きのハンドル、高いサドル、細いタイヤなど、ファッション性が
重視されています。
ピストがブームになったのは、アメリカのメッセンジャー(配達員)が
街中を車の間をすり抜けながら走っていく姿を、テレビや
雑誌などで紹介されたことがきっかけとなっています。
それが、若者の間でカッコイイと人気になって広がっていきました。
しかし、ピストという言葉の本来の意味は「自転車競技場」であり、
そこを走る自転車が「ピストレーサー」と名付けられ、
略してピストになりました。要するに、本来は競技用の自転車のことです。
競技用自転車はブレーキを装備するのが禁止されているため、
固定ギアになっています。
固定ギアの場合はペダルと車輪が直結されているため、後ろに
漕げばバックもします。
ピストを止める場合は、足の回転を止めることでタイヤの
回転を止めます。
しかし、走っている自転車を足の力だけで止めるわけですから、
強靭な脚力が必要であり、鍛えられたプロにしかできません。
素人が脚力だけで走っているピストを止められるわけはなく、
仮にタイヤの回転を止められたとしても、タイヤがロックした
状態のまま惰性で前へ進み、却ってコントロールの
利かない状態になる危険もあります。
ブレーキの無い自転車で公道を走ることは、絶対に避けるべきです。