好きなもの食す。
それだけで心は満たさせるものですが、食器によって、より満足を感じる事があります。
例えば、温かい料理がガラスの器に盛られていたら、温かいはずなのに冷たいように感じ、
逆に、冷たいジュースを分厚いカップで出されたら、涼しさも半減してしまいます。
このように、視覚で感じる美味しさも、食にはとても大切なのですが、視覚だけでなく、
食べ物、飲み物自体にも器は直接大きな影響を与える事があります。
温かい料理、飲み物は、いつか冷めます。それを出来るだけ温かく保つ為に、
敢えて分厚い器、保温性のある陶器を利用しますし、冷たい物でしたら、
器に触れて冷たく感じるガラスやステンレス、銅を使う事もあります。
美味しい料理や飲み物を提供したい。そう思っているお店程、
そのちょっとした事に拘っていますので、
少し贅沢なお店に足を運んだ時は、食器を気にして見てみると気遣いが感じられ、
より食事を美味しく楽しめると思います。
私は珈琲が好きなので、よく色々なカフェや珈琲専門店に足を運ぶのですが、
やはりどうしても器が気になります。
本当に美味しい珈琲と巡り合いたい方は、是非、お店で器を観察して下さい。
苦味の強い珈琲には、口の奥に真っ直ぐ珈琲が届き、
より苦味が感じられるよう、口元の狭いカップで出されます。
逆に酸味のある珈琲には、冷めて酸味が感じられるよう、空気に触れる面積が広い、
口元が広がったカップを使う等、珈琲の良さをしっかり味わえるよう工夫しています。