最近は、ミネラルウォーターをバッグに入れて、持ち歩いている人が
多くなりました。ミネラルウォーターはその名の通り、カルシウムや
マグネシウムなどのミネラル分(無機塩類)が含まれている水のことです。
このミネラル分の量の多寡によって表されている指標が「硬度」です。
ミネラル量の数値によって、硬度100以下が「軟水」、101~300は「中硬水」、
300以上が「硬水」に分けられます。硬度が高い水ほど、ミネラル分が
多くなります。ただ、硬度の算出基準は万国共通ではなく、日本では米国の
基準が広く採用されています。
硬水に含まれるミネラル分は、地下に堆積している岩石などから
長い年月をかけて溶けだしたものです。
従って、石灰岩地質が豊富で、滞留年数も長いヨーロッパ大陸の
地下水は硬度が高い傾向にあり、日本やイギリスなどの島国は
滞留年数が短いため、硬度が低く、軟水がほとんどです。
軟水は料理に適しているため、日本では水をふんだんに使って、
素材の良さを生かす料理が発達しました。日本人がよく飲む緑茶も
水そのものの味が影響します。
ヨーロッパの水はほとんどが硬水のため、料理に利用すると、
ミネラルの作用でたんぱく質が固まってしまい、旨み成分が
出てこなくなります。
そのため、ヨーロッパでは水をじかに利用する料理は少なく、
オーブンによる焼き料理や、水で煮込まずにスープを使ったり、
ワインや生クリーム、油脂を加えたりして調理する煮物や、
シチューのような煮込み料理が多くなっています。