歌舞伎俳優の市川団十郎さんが亡くなりました。
中村勘三郎さんに続き、歌舞伎界はまた大きな柱を一本失ったことになります。
テレビのワイドショーで団十郎さんの訃報を取り上げているのを
いくつか見ましたが、、息子の海老蔵さんの過去のスキャンダルばかりに
スポットを当てる傾向があり、少し悲しい気持ちになりました。
私は熱心な歌舞伎ファンではありませんが、団十郎さんの舞台は
何度か観たことがあります。
その迫力ある芝居っぷりには、いつも圧倒されました。
団十郎さんについて語るべきことは、他にくらでもあると思います。
勘三郎さんが亡くなったときも、ショックを受けた人は多いでしょう。
彼は歌舞伎だけでなく、小劇場系の人(野田秀樹さんや宮藤官九郎さんなど)から
商業演劇の人(藤山直美さんなど)まで、さまざまな世界の才能ある人たちと
タッグを組み、多彩な活躍をしました。
勘三郎さんの葬儀での、野田秀樹さんと大竹しのぶさんの弔辞にはとても心を打たれました。
「親友」であり「戦友」だった「かけがいのない人」に先立たれた二人が、
それぞれの言葉と表現方法で、想いのたけをぶつけていました。
内容が素晴らしいだけでなく、お二人とも日本を代表する作家・演出家兼俳優と、
女優さんなので、密度の濃い短編の「一人芝居」を観ているような気にさえなりました。
天国の勘三郎さんも、その姿を見て、「よっ、さすがだね! なんとも、いいねえ」などと
声をかけてたのではないでしょうか。
団十郎さんの死にあたっても、きっと語るべき人が語るべきことを
語ってくれると信じていますし、心からそう願います。