かつて、私はホテル業界で働いていたことがありました。
ホテル業界は、とても華やかでやり応えのある業界でした。
もちろん給与も高く非常に満足していました。
おなじ職場の同僚たちもとてもいい人だらけで、このホテル業界で
働くようにして良かったと心底思ったものです。
私の勤めていたホテルはとても客が多く、いつも人手不足に
悩まされていました。そのため、あるとき、新入社員を募集しました。
数人の社員を採用して、試用期間として数ヶ月間一緒に働くことになったのです。
その時、私も一緒に働きましたが、すこし、不安になったのを覚えています。
なにしろ、新しく入ってきた彼らは、ホテル業界のことを何も知らない人たち
だったからです。
彼らをいちから教育しなければならず、本当にうまく教えられるのか、
また、教えたとしてもきちんと吸収してくれるのか、とても不安でした。
ところが実際に、顔を合わせ教えてみると、これが、とても吸収のはやい頭の
いい人たちばかりでした。
一を教えれば十を知るというもので、細かなことまで教える必要は
一切ありませんでした。それに、なにも教えずとも自分たちから、
私たちの仕事を見て、覚えようというやる気もあふれていました。
特に試用期間ということもあって、ここで失敗をしたら、正式に採用されないので、
絶対に失敗をしないというやる気に満ちあふれていたのです。
ですから、最初の心配はどこへいったのか、彼らの働きぶりを見れば、
まるでベテランのような働きぶりで、こちらが教えられることもあるぐらいでした。
やる気さえあれば、その業界に疎い未経験者でも、きちんと吸収し、
すぐにでも戦力になるということを思い知らされたのです。
やる気こそが働く上で重要なことなのです。